鬼無里の郷愁風景

長野県鬼無里村<在郷町・農村集落> 地図(鬼無里・日影)地図(財又) <長野市>
 
町並度 5 非俗化度 9  −戸隠への道と善光寺への道が交差する山間の小さな在郷町−






 鬼無里は県の北西部、長野市附近で千曲川の支流・犀川に注ぐ裾花川の上流域を占め、谷間の標高約700〜800mの狭い平地に集落が散在している。古くは木那佐とも表記されていた。
 この地域は戸隠神社とのかかわりが深く、神社の神領もあったという。
 中心となるのが町集落で、ここは裾花川沿いに善光寺方面に向う道と、戸隠方面に北上する道の辻となっており、小規模ながら要衝として古くから賑わっていたのだろう、現在も市街地を形成している。天和年間(17世紀後半)には藩から市を出すことが許され、九斎市が立った。木炭や麻などの産物は善光寺方面、松本方面と取引された。
 短い区間ではあるが平入り形式の伝統的な建物がある程度固まって残っており、古い町並の体裁を保っている。いずれも間口が広く、中には二階部に木製の欄干を残すものもある。戸隠への客を泊めていた建物なのだろうか。これより南部の地域とは異なって、瓦屋根が見当たらず軒並トタン葺となっているのは積雪寒冷地だからだろう。
 裾花川の対岸の日影地区にも規模は小さいが一部に伝統的な構えの建物が見られる。こちらは南に峠を越えて高府(小川村)、新町方面への街路の上り口となっていた。
 また反対に戸隠方面へ向けての街道に沿っても趣ある集落が点在しており、トタン葺の大屋根を持つ農家、土蔵群が印象的である。その中でも財又集落は山村集落としての豊かさを象徴しているような風景であった。
 なおこの附近は蕎麦の産地であり、日影近くにある道の駅をはじめとして打ち立ての旨い蕎麦を食することができる。



鬼無里の町並




鬼無里の町並




財又の町並


日影の町並
訪問日:2014.09.15 TOP 町並INDEX