木更津の郷愁風景

千葉県木更津市<港町> 地図 
 町並度 4 非俗化度 7  −江戸との海運に特権を与えられた港町−

     

中央二丁目の町並
 

 木更津市は千葉市の南30km強にある人口13万人ほどの都市で、近年東京湾を横断するアクアラインの開通により、京浜方面から房総半島中南部への玄関口ともなっている。
 江戸時代は上総一の港町として発展してきたところである。慶長19(1614)年の大坂の陣における当村の手柄に対し、幕府は種々の特権を付与した。中でも大きかったのが江戸との渡船営業の独占で、江戸の日本橋と江戸橋との中間付近には木更津河岸が設けられ、行き交う商船は木更津船と呼ばれた。隅田川などでは木更津船を見ると避けて通ったという逸話もある。木更津河岸は木更津村の船持24人の拝領地で、荷船とともに客船も運航されていた。幕末の安政6(1859)の記録では、夜の9時に河岸を出帆すれば翌未明1時頃に木更津の港に到着し、運賃は200文であったという。
 港町としての発展は数々の商家を生み、また江戸の知名人の訪れも多く文化的にも先進地だった。有名な木更津甚句もそういう影響下で作られたものである。
 港町としての賑わいは、鉄道が伸びてくる大正初期まで隆盛が続いた。
 現在は首都圏外縁の一地方都市といったイメージだが、駅の西側には港町時代の痕跡があちこちに見られる。特徴的なのは洋風の建物が多く見られることで、明治から戦前にかけての賑わいを証明しているようであった。古い町並としては濃厚に残っているとはいえないが、面的に展開することから探訪していてどこに現れるか判らない面白さもある。
 




中央二丁目の町並




 富士見二丁目の町並 中央一丁目の町並
    

訪問日:2016.05.01 TOP 町並INDEX