阿間河滝の郷愁風景

大阪府岸和田市<農村集落> 地図 
 
町並度 6 非俗化度 8  −長屋門の連なる坂道が印象的な農村集落−

 

 

長屋門が連なる坂道が見られる阿間河滝町の町並 
 


 岸和田市阿間河滝町は市街中心からは内陸に5kmほど、丘陵地に位置している。和泉山脈麓の塔原地区からの街道が地内を通過し、ささやかながら物資や人の往来があったようだがほぼ純粋な農村として息づいてきたようだ。麦や菜種、木綿などを産し、幕末の文久期の頃には甘藷が植えつけられ、岸和田や周辺村々をはじめ大坂方面に黒砂糖が売りさばかれていたとの記録がある(『泉州誌補遺』)
 
 

 

 

 

奥家の長屋門と椋の古木   


 近くには国道バイパスが横断し、そこから脇道に入り集落に到着するのだが、一帯は起伏のある地形で幾つもの谷あいがあって地図を見ていても到着するのに苦労した。集落に入ると乗用車の通れる一部の道を除いては小路・路地ばかりで、それらに沿い伝統的な構えの建物が見られる。 多くの建物は傾斜地に立地しているため、石垣を多用し宅地を造成した様子がわかり、独特の集落景観を示している。そんな中でも入母屋屋根を持つ屋敷や長屋門を構えた姿が見られ、裕福な農村集落だったのだろう。
 とりわけ、細い坂道に沿い数棟の長屋門が並ぶ一角は、この地区の町並を象徴する風景だろう。坂の下からそして上から見ても見応えある景観であった。傍らには「ふるさとの坂道三十選」との表示のある銘板も見られる。また大阪府が選定した「まちなみ百景」にも選ばれているということで、町並・集落景観として認識されている様子である。しかし、一般にはほぼ知られていないようで検索してもほとんど情報が出て来ない。
 この坂道から広い通りに戻って少し歩くと、長屋門と巨樹の印象的な景観が現れる。樹高5m、幹の周囲3mという椋の古木で、奥家の椋として市の天然記念物になっている。近くには古い建物を利用した食事処があり、ここが唯一外来客を受け入れる施設となっているようだ。

 
   
訪問日:2022.11.20 TOP 町並INDEX