北野の郷愁風景

神戸市中央区<洋館群> 地図
町並度 5 非俗化度 0 −我国を代表する洋館の町並−






北野通の町並 山本通(異人館通)の町並。旧ハンセル邸付近。






北野通の町並 北野通から派生する坂道の小路にも洋館が多く見られる。






風見鶏の館と一般に呼ばれている旧トーマス邸
(1909-M42)
萌黄の館と一般に呼ばれている旧シャープ邸
(1903-M36)
 


 新神戸駅の西側一帯の斜面一帯にあるこの北野地区は洋館が多く残り、神戸を代表する観光地となっている。
 神戸は幕末の開港以後多くの外国人が住まうこととなり、当初は現在のJR三宮〜元町にかけての線路南側の一帯を居留地と定めていたが、同時にこの山手地区も外国人の居住が早くから許可されていた。その後居留地一帯が手狭になったこともあり転居する外国人が増え日本の文化人も多く居を構えた。大正から第二次大戦前までにはほぼ、現在の異人館街というイメージは形成されていたという。その中心となったのが地区の中央を等高線なりに東西に伸びる山本通であった。そしてその南側にも、北側の斜面上にも多くの外国人住宅が建てられ、現在でも多くが保存され訪問客を惹きつける要素となっている。
 旧居留地の近代洋風建築は別に紹介の機会を設けるとして、ここでは北野地区の重要伝統的建造物群保存地区内の風景を紹介したい。
 重伝建となってから既に25年を経過していて、洋館を中心とした町並の保存は完成度が高いものであるが、1995年の阪神淡路大震災による被害は大きく、多くの建築物が痛手を蒙った。そのため現在に見る洋風建築群は当時の修復を受けており、外見上古いという印象にはいささか乏しいものがある。しかも、公開されている多くの洋館では商売熱心というか、客寄せ紛いのようなことも行われており、落ち着いた風情の中洋館群を巡るといった雰囲気を感じるのは困難な状況である。古い町並というより完全に観光地化された展示場といったイメージだ。
 町並としても洋館が連続した迫力ある風景はごく一部で、点としての建物が散在しているといった雰囲気である。
 しかし個々の邸宅の質は素晴しく、重伝建である意義は充分感じられる。中でも北野通から少し山手に入ったところに隣接して対峙する旧トーマス邸と旧シャープ邸は、この町並を代表する洋館建築である。また、南西側の山本通に面する旧ハンセル邸。この三軒は、内部を見学するに値するものがあると思う。
 


訪問日:2005.09.03 TOP 町並INDEX