北境の郷愁風景

宮城県河北町<農村集落> 地図  <石巻市>
 
町並度 5 非俗化度 10 −重厚な長屋門が多く見られる農村集落−





北境集落の風景


 石巻市街に流れ下る旧北上川を河口から5kmほど遡った左岸側、平地と丘陵が錯綜するあたりに北境地区がある。
 桃生郡の南端に位置し、江戸期には三人の武士の所領だったといわれ舘という地名が残るのもそのためと思われる。安政5(1858)年の記録では124名の人口を有する村であった。
 農村集落として歴史を刻んだ集落だが、何かの理由で裕福な農家が多かったのだろう、どの御宅も構えが立派で見応えがする。特徴的なのは長屋門を構えた家が多いことで、中には道の両側に門が向き合う風景もあった。長屋門内を少し覗くと、立派な母屋や付属屋、納屋など複数の建物が取り囲んでいる様子がわかる。
 もう一つの特徴として屋根材が挙げられる。この地域は良質な粘板岩が産出され、それを原料とするスレートの産地となっている。スレート葺きの家々が多く、外観上はウロコを並べたような姿が特徴だ。屋根の立ち上がりが大きく立派な邸宅が多いことでそれが際立ち、迫力を感じるものがある。
 特に集落の入口から路地奥を望むあたりの風景はなかなか見応えのあるものであった。ネットで確認すると幾つかの探訪記録や紹介文があるようだが、一般にはほぼ知られていない集落と言えよう。
 
 

 



 
 
 

 

集落入口付近には長屋門が向き合った風景や厳かな門構えのある風景が残っていた


訪問日:2022.07.16 TOP 町並INDEX