杵築西新町の郷愁風景

大分県杵築市<城下町> 地図
 
町並度 5 非俗化度 7  −武家屋敷街の西側に展開する商家群 繁華街でもあった−



 


 一本道に沿い家並の連なる西新町の町並
 
 
 杵築の町並は城下の武家屋敷地区と町人町地区が重要伝統的建造物群保存地区となっているが、それに接するように伝統的な建物の連なりが見られる街区があるとの情報を得、改めて探訪を行った。
 武家屋敷街の内「北台」と呼ばれる地区から西に連なる界隈で、その名の通り、周囲より一段高い台地上の土地が連なり、尾根と称しても良い細長い一帯である。幹線道路沿いなどとは隔絶された印象を抱く。
 付近は西新町と呼ばれる。現在の町名としては存在しないようだが、杵築市のホームページには紹介されており、「北台の上町から西に延びる通りと富坂が交差する地域にあり、近くには八坂神社や札ノ辻の旧蹟がある。料理屋や遊郭建築も見られ、歓楽街として賑わった町」とある。
 東西の一本道を歩くと、平入で漆喰に塗込められた商家建築の連なる町並が展開していた。街道集落のような趣で、意外な町並展開を示していた。その中でもと侍医であった医家・佐野家の邸宅が眼を引く。
 富坂と交わる付近には大柄な料理屋か旅館を思わせる建物があり、現在は食事処として利用されているようだ。歓楽街としての雰囲気はこの建物に感じられる程度であるが、かつては城下随一の繁華街として、賑わいを呈していた地区なのだろう。
 この界隈は重要伝統的建造物群保存地区のエリアからは外れており、先に探訪された方のサイト等を見ると古い医院の建物や洋風建築が掲載されているが、探訪の目玉と踏んだそれらは眼に出来ず、変化・更新の渦中にあるものと思われた。事実枝道には広い更地に木造三階の重厚な建物が残された風景もあった。以前は別棟や土蔵などを従えていたはずで、滑稽でもありまた痛々しい姿でもあった。
 

 

 元侍医の佐野家  
 

 

 富坂との交点にある料理屋風の建物  


 
 富坂の風景
   

訪問日:2021.11.14 TOP 町並INDEX