児玉の郷愁風景

埼玉県児玉町【在郷町・街道集落】 地図 <本庄市>
 
町並度 3 非俗化度 9  −北武蔵の在郷町 中山道脇往還にも面した街道集落−








 児玉町は県の北部、関東平野と山地との際に市街地が開ける。小山川の扇状地に立地したいわゆる渓口集落であり、地域を縦断する八高線もそれらを結んで走っている。
 扇状地上は水が乏しく水田には不適で、畑作、養蚕や煙草栽培がおもな農産物であった。
 小山川流域などの周辺各村から物資集散の拠点となり、毎月3・10の日に市立てされるなど市場町・在郷町として発達を見た。取引される商品は先の農産物のほか、絹・紬などの織物などであった。
 また児玉には中山道の脇往還が通り、隣村の八幡山町では宿駅業務が行われ、人馬継立てが行われていた。街道沿いの家々は児玉町へと連続し、一体化した街道集落を示していた。町場の発達は、この街道の往来によるところも少なくないだろう。
 現在の町の中心でもある仲町付近を中心に町家風の建物や土蔵などが散見され、連続性は淡いながらも古い町並を残していた。漆喰に塗り込められた店蔵建築も見られ、商業の繁栄を物語っていた。また現役と思われる旅館が古い構えのまま営業されている姿も印象的だった。旅館の敷地は鰻の寝床状に奥行深く、最奥部には土蔵を従えており、街道沿いの家々の特徴を残していた。
 


 
児玉の町並








奥行深い敷地の裏手に土蔵を構える旅館の建物 


訪問日:2018.06.09 TOP 町並INDEX