御机の郷愁風景

鳥取県江府町<街道集落> 地図 
町並度 5  非俗化度 10 −大山参詣客の拠点として古くから賑わった−





 大山の南麓に位置するこの御机地区。標高600m余りで北を仰ぐと秀麗な山容を望むことが出来る。
 藩政期は大山寺領内で、南伯耆や美作からの大山参詣者は、登山道の道筋から必ずここを通過するようになっていた。天保9年に記された『大山参詣道の紀』には、「大山寺から百八丁にして三つ杭(御机)といふ町家に休み」と記され、村の風情を宿場風に描写している。
 明治に入っても同24年の統計で人口244などと街道上の一つの町としての体裁は変らず、大山寺とのつながりも続き戦前までは祭礼時の神輿担ぎを任されていた。
 現在も蒜山高原方面と江府町中心方面からの道が交差し、一つの拠点となっている。集落は交差点付近を中心に二股に展開し、街道集落らしい風情を保っていた。もと茅葺らしい屋根の形にトタンを覆った姿も多く見られ、それらが茅葺のままだった時代はまた壮観だっただろうと思われた。間口も奥行も深く土蔵を従えた姿を見ると、山岳部の集落としては特異で、それだけ大山を往来する客に恩恵を受けていたのだろう。現在も商家の趣を感じる旧家も少なくなく、中には旅館の看板が見られる家もあった。
 あちこちに清冽な水の流れがあり、集落風景を引き締めているようであった。
 
 

坂道に沿い街村的に連なる御机集落  









訪問日:2022.05.01 TOP 町並INDEX