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県の東部、郡家の町は鳥取市で日本海に注ぐ千代川の流域、二つの川の合流点近くにある。流域には肥沃な平野が広がっていたことから古くより農業が栄えた土地だった。 地理的にも八頭郡の入口に当たっていたことから交通や経済、政治的な面でも地域の中心をなしてきた。現代交通でも、因美線と若桜線（若桜鉄道）の分岐するところであり、国道29号線をはじめ数多くの国道県道がここで分岐集結している。 ただ城下町などとして軍事的勢力を帯びた町でもなく、宿場があったわけでもないようで、こうした地の利をいかして在郷商業町的な賑わいを示したところがせいぜいのところだったのだろう。 駅の東側の南北の通りにいくばくかの古い町並は残っているものの、大柄な商家の姿が今ひとつ少ない。そのような地区が更新され新市街地になっているのかもしれないので、憶測でものをいうのは慎まねばならないが、商業町としての発達がそれほどではなかったことを示しているのかもしれない。 しかし国道と駅前の通りとに挟まれたこの通りだけが、近代的な町の風景とは異なるこの町本来の顔を辛うじて残しているようで、消える脆さを抱えながらも健気に息づいているように感じた。 |
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