小牧の郷愁風景

愛知県小牧市【宿場町】 地図 
 町並度 4 非俗化度 7  −名古屋城下と中山道を結ぶ街道上の宿駅であった−




庄屋を勤めた旧岸本家と付近の町並


 小牧市は名古屋北郊の町の一つで、名鉄小牧線は地下鉄に直結し都心との交通の便もよい。
 駅前は古い町並が展開するとはとても想像できないような風景が展開しているが、西口を出て5分も歩くと旧上街道沿いに至る。そこから南側が宿場町として栄えた地区である。

 古くは元禄6(1563)年に織田信長が開いた城下町が起源で、その後尾張藩が木曽方面に所有する森林を管理する目的から名古屋と中山道を結ぶ街道を整備することになり、当初小牧山南麓にあった城下町から上街道(木曽街道)沿いに家々を移転、町が整備された。
 小牧宿として名古屋方から下町・中町・本町、ここで鍵曲がりを経て横町・上之町と区割りされた。中山道から参勤交代の一団がこの街道を経由してくることもあり、本陣も置かれたという。下町の南端には木戸があり高札場があった。またこの界隈にあった岸田家は今も残りこの町並を象徴する貴重な伝統的建物だ。岸田家は幕末には小牧村の庄屋をつとめ、また宿駅業務としても脇本陣としての役割を果すなど、小牧の歴史を語るには欠かすことの出来ない存在だ。市の文化財に指定されており、予約制ながら内部見学も出来るという。
 17世紀後半の寛文年間頃から市が開かれるようになり、毎年春に馬の売買が行われた。また近在の農村から農産物や農具が持寄られ、呉服屋古着なども取引された。それらの商いには宿の商人も活躍したのだという。
 この旧街道沿いだけは市街中心部にあって歴史を感じさせる雰囲気があったが、それでも旧岸田家以外は際立った旧家は少なく、連続性も保たれていなかった。しかし明治以降に建てられたと思われる古い建物は幾分か残り、立派な屋根神様の見られる建物もあるなど、旧街道沿いの歴史が感じられる町歩きができる。










訪問日:2019.05.25 TOP 町並INDEX