小松島の郷愁風景

徳島県小松島市【港町・商業町】 地図 
 町並度 3 非俗化度 8 −藍の商取引で栄えた港町−




松島町の町並 豪商を思わせる邸宅も一部に見られる


 小松島市は徳島市の南10km弱、郊外地といったイメージの町である。しかし歴史的には古くからの港町で、早くも14世紀頃の中世には勝浦川上流の山林から伐り出された材木が小松島津に運ばれていた記録がある。
 江戸時代になると徳島城下建設の一拠点となり、補助的役割を負ったことから急速に町場が整備された。高札場も置かれ民衆統制も図られた。
 町割が整備され、港町・漁村としての発展のみならず在郷町としても大きく発達した。その背景として阿波藍の取引により商人が多く生まれたことも大きかった。商圏は江戸・大坂をはじめ全国に及び、松島町には豪商屋敷が建ち並んだという。特に享保16(1731)年に商取引が全面自由化されて以後は繁栄の時期を迎えた。
 一例を挙げると、藍商人鹿島屋は江戸を要に武州、相州、上総・下総、野州、常陸など各方面に売り場株を保有していた。中には酒造業を兼業する者など、商業活動を手広く行う商人もあったという。
 それら豪商の多かった松島町を歩くも、伝統的な古い町並といえる雰囲気は淡かった。ただ1軒ほど、街路に面し複数の土蔵を従えた厳かな構えの邸宅が残っており、或いは藍商人に由来する旧家なのだろうか。その他、界隈には所々に町家風の建物が散見された。
 川を挟んだ北側の小松島地区は後に開発されたところだが、国鉄の小松島線の終点があったように港の中心はこちら側で、以前は和歌山への連絡船が就航し、港から続く繁華街を中心とした町並であった。一部に伝統的な構えの店舗が見られた。
 廃止された旧小松島駅のあった場所には蒸気機関車と客車が静態保存され、公園として整備されていた。
 
 


松島町の町並




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訪問日:2017.12.02 TOP 町並INDEX