米ノ浦の郷愁風景

福井県越前町<漁村> 地図
町並度  5 非俗化度 9 −険しい地形に開ける越前海岸の漁村集落−
 
   越前の海岸はほぼ全域にわたって平地を形成せず急峻な山地が海に迫る箇所も多い。地形的な要因だけではなく内陸側の方が沃野に恵まれ産業や町が発達しているため、北陸本線や北陸自動車道をはじめ幹線交通はいずれも内陸を通過している。
 米ノ浦は越前岬のおおよそ10km南、そうした険しい地形のもとに開ける漁村である。

 
 


 


 




 
 
 

 江戸期は福井藩領であったが、鎌倉期には敦賀気比社の神領となっていた。漁業のほか初期には製塩も盛んに行われ、慶安4(1651)年には4基の塩竃があり、夏季の好天時には一基あたり50〜60俵の塩を焼き出していたという。また岬状に突き出した地形から遠見番所も設置されていた。
 明治初期の記録『足羽県地理誌』では漁船31隻を有し漁獲物はカレイ・鯛・鯖・シイラ・鮑・サザエなどとある。明治10年の統計では漁業の免許申請者86で、シイラ釣、手繰網漁、磯見漁業といった漁種が記載されている。
 集落は漁港を中心とした海岸部のほか、日本海に流れ下る細い流れに沿った狭い谷にも家々が連なっているのが特徴的である。この谷間が集落の立地に貢献したといえるほど険しい地形といえるだろう。木造三階の建物が多く目につくところもそれを象徴しているようだ。
 一方海岸部の比較的敷地に余裕のあるところでは、土蔵と塀を従えた邸宅も見られ、その対比が際立っていた。
 
 
 





 
   
   
   
   
訪問日:2021.03.27 TOP 町並INDEX