菰野の郷愁風景

三重県菰野町<城下町> 地図
 
町並度 5 非俗化度 8 −1万2千石の小さな城下町 湯ノ山温泉の入口−





菰野の町並


 菰野町は県の北部、鈴鹿山脈の東にあり扇状地状に開けた平野部に市街地が展開する。
 関ヶ原の役後に菰野城に入った土方氏により菰野藩が成立、1万余石の小藩ながら城下町を形成した。実態は陣屋を中心とした小規模なものであったが、武家町も計画され、また東町・本町等の町人・商人地も整備され町の体裁が整えられた。
 藩域は三重郡内の他、鈴鹿山脈を越えた近江国内の一部にも及んでおり、これは菰野の地が八風越えと呼ばれる近江とを結ぶ重要な峠に面していたことによるものと思われる。桑名方面から近江・京方面への短絡路として多用され、商人の通行が多かった。
 明治以降も地域の中心として発達していったが、大正初期に鉄道が開通すると鈴鹿山脈の中腹にある湯ノ山温泉への入口として賑わいを増した。一時は名古屋などから特急列車が運行されていたこともあり、一大観光地とされていた。
 現在見る町の伝統的な部分は、城下町というより湯ノ山温泉への門前町のような役割を果たしていた頃の残影が濃いものと思われる。主に東町商店街と呼ばれる一本の通りに沿って残り、商家建築や旅館などの姿がある。二階部分に木製欄干を見るものもあった。
 既に郊外型の大型集約店などに客足を奪われて久しいようで、現在も商売をされているような店舗は少なかった。やがては町並に歴史的な面影を求めることは困難になってくるのだろう。










訪問日:2012.11.04 TOP 町並INDEX