高根島の郷愁風景

広島県瀬戸田町<農村集落> 地図 <尾道市>
 
町並度 4 非俗化度 10 −島の農村集落−
 






 高根島は本州・四国と陸続きとなっている生口島から橋がかかり、陸路で訪ねることができる。本州側からは近く1kmほどしか離れていない。
 生口島の属島のようにも見えるのだが、古くから柑橘農業が盛んで、独自に繁栄してきた島である。藩の蔵入地(直轄地)でもあり、塩田も設営された。江戸末期頃の記録では船28艘があったといい、船蔵もあったとの記録があり、多少は漁業も行われていたかに思われるのだが、産業の中心はあくまで農業であり、昭和初期ごろには蜜柑の栽培が盛んになり、養蚕を副業とした。山がちな島だが麓は比較的緩い斜面が広がっていることから、柑橘栽培に適していた。
 昭和45年には生口島との間に橋がかかり、農産物の出荷も容易になった。
 橋のたもとから北側、対岸に生口島を望む辺りに中心集落がある。農家の建物が散在的に見られ、密集したたたずまいを見せる対岸の瀬戸田の町並とは一線を画するものだ。それぞれの家屋は入母屋の屋根を持つ立派なもので、農家というより商家に近い外観だ。それだけ柑橘栽培で豊かな農家だったのだろう。重厚な本瓦を持つ家屋などを見ると、特にそう感じる。
 瀬戸内の島々は漁業より農業主体のところも少なくないが、この島は特に農業の比率が高いところで、その点でも貴重なところといえよう。
 







生口島とをつなぐ高根大橋

訪問日:2005.03.27
2017.02.12再取材
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※全て再取材時の画像