金光の郷愁風景

岡山県金光町【宗教施設の門前町・社家町】 地図
 
町並度 4 非俗化度 6 −金光教本部の「門前町」−




金光の町並 金光教本部の門前町的な風景が広がる独特の町並風景だ

 
金光町は町内に本部のある金光教の名がそのまま町名となっている珍しい例だ。開祖者といわれる金光大神は幕末に生れ、少年時代から伊勢に参拝したり、その後四国巡礼を行ったりして神仏を敬い拝む習慣を強く持っていた。46歳の折に家業をやめ、「神と人を結ぶ取次」を始めたとされ、明治元年に金光大神という神号を与えられたのだという。
 中世は山城の見下ろす農村地帯、江戸期に入ると岡山藩の支配のもと新田開発等も盛んであったが、大きな町場の発展も見ずに維新を迎えている。金光教の本拠地が置かれたことが当地に一大変化をもたらすことになった。
 国道2号線と山陽本線に挟まれた辺りが中心街で、丘陵の裾を利用して本部の建物が圧倒的な威光を周囲に放っている。そして、西側には信者のための土産物を扱う商店街が小規模ながら固まって残り、さながら門前町のような雰囲気を呈していた。
 事実この金光教は神式であることもあって本部の佇まいは神社そのものであり入口には大鳥居がある。そして御神酒と称される数種の銘柄の酒が門前で売られているのはどこにでもある神社前のにぎわいそのものだ。それらは木造のものから洋風建築風の建物も見られ、明治から大正の頃に既に多くの往来があったであろうことが容易に推測できる。
 驚いたのが土産物街の北に接して一般の神社でいう社家街のような街区が見られたことだ。土塀や土蔵、細い路地など風情が漂い、屋根越しに本部の建物が見える。それらは全て「金光さん」で構成された邸宅街であった。
 外観的には大きな神社とその門前町という印象でしかない町の風景が展開する、特異な町並だ。






社家町のような雰囲気の一角もある 左の写真の石垣の上は本部
訪問日:2007.12.02 TOP 町並INDEX