越ヶ浜の郷愁風景
山口県萩市【漁村・港町】 地図 町並度 5 非俗化度 7 −砂洲上に展開する観光とは無縁の町並− |
萩市の東郊外に笠山という、日本海に小さく突き出た半島状の山がある。もとは火山だったといわれ、陸とつながる辺りに独特の地形が見られる。まず一つは風穴と呼ばれる溶岩の間から吹いてくる冷風で夏でも13度ほどしかないため天然のクーラーとして親しまれまた周囲には寒地性の植物まで自生するほど規模の大きいものである。また明神池は溶岩の隙間により外海と通じており、塩分の含まれる汽水の池で鯛やエイなど各種の魚類が生息している。一旦入り込むと再び海に戻ることは困難なのか餌付けされたようになっており、名物風景ともなっている。 笠山と本土とを結ぶ短い陸繋砂洲に家々が密集している。国道から明神池を結ぶ一本道以外は小路が主であり、また車の通れない路地も多く漁師町的な風景が展開している。一方で虫籠窓を纏う商家風の建物も少なからず目にする。屋根瓦は石見と共通の赤褐色のものが一般的であった。 江戸期には越ヶ浜浦と呼ばれ、当時より漁村集落として栄えていた。萩城下の港であった浜崎とのつながりが深く、漁獲は浜崎の魚問屋に委ねていたという。また問屋を営むものも多く、日本海航路を経て北国との交易を行う廻船を仲立として取引を行っていた。虫籠窓の町家が残るのはその名残なのだろう。 |
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越ヶ浜の町並 | |
砂洲上に開ける町なので左右が海に面しているが、特に東海岸では伝統的な建物と港風景の混交する風景も見られ独特の趣を感じさせた。商家の佇まいと路地奥の漁村そのものの風景が境なく混在しているのも面白い。 明神池周辺には土産物屋も多く見られ観光客の訪れも絶えないが、集落の内部にまで入ってくる客は皆無であり、飾り気のない漁師町・港町の風景が展開していた。 |
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訪問日:2009.06.28 | TOP | 町並INDEX |
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