小須戸の郷愁風景

新潟県小須戸町【在郷町】 地図 <新潟市秋葉区>
 
町並度 6 非俗化度 6 −信濃川水運で繁栄がもたらされた在郷町−
 

 小須戸町は信濃川右岸に古くからの町の中心が開ける。その立地から、水運が発展の基盤であっただろうことがまず推測できる。
 事実、中世より信濃川は物流の大幹線として利用されており、江戸時代には長岡藩によって航路と河岸が指定された。小須戸にも河岸が指定され、年貢米の積出、生活物資の陸揚げなどが盛んに行われ、物資の集積によって町場が形成・発達した。

 
小須戸の本町通の町並


 

 18世紀はじめの宝永年間に始まった六斎市、その後上町・中町・下町・横町の町割が完成し、在郷商業町として位置づけられた。特に幕末頃になると河岸には常時40から50人の人員が配備されていたといわれ、商港のにぎわいそのものであった。
 そのような賑わいを基礎に、幕末期から明治にかけて木綿産業、花卉栽培などの産業も発達した。
 明治以降も信濃川は重要な交通・物資流通路で、明治7年には蒸気船が就航、川蒸気と呼ばれた外輪船は多くの旅客や物資を運んだ。明治30年に現在の信越本線が開通しているが、昭和初期ごろまでは川運も盛んに行われていた。
 古くからの町並は信濃川の自然堤防上に形成され、川に平行する形で展開している。本町通りと呼ばれる街路沿いには、妻入りの旧家が高い比率で残っており、商業で栄えた町といった風情が濃厚に感じられる。明治34年に町の大半を焼失する大火が発生しており、現在の建物はほぼそれ以降に建てられたものだろうが、その分二階の立上がりが高く豪華な印象を抱かせる。窓の意匠なども各家さまざまで、それらを見比べながら歩くだけでも興味深い。
 家々の前面には連続性は低いものの、独特の雁木が見られる。中には瓦を葺いた立派なものも残されていた。
 地元では旧家や町並の貴重性を認識しておられ、近年急速に知名度を上げた町並ともいえる。幾つかの町家は一般公開もされており、商家として繁栄していた頃の様子をうかがい知ることが出来る。特に町家の質の面から、探訪する価値は十分にある町並といえるだろう。
 訪問者向きの取組も、集客目当ての形にならなければ非常に意義のあるものになる。建物と町並を守る目的で設立されたNPO法人も活発に活動されているようだ。今後も注目したい町並である。
 
 













訪問日:2017.04.29 TOP 町並INDEX

参考: http://kosudomachinami.web.fc2.com/machinami.html