古座の郷愁風景

和歌山県古座町 【漁村・在郷町】 地図 <串本町>
町並度 6 非俗化度 9 −清流・古座川河口に発達した町−



古座の町並
 紀伊半島内陸部に源を発し、半島南端付近で太平洋に注ぎ込む古座川。流域に大きな市街地を持たないため、非常に清澄な流れとして知られており、平成の名水百選にも選ばれている。
 古くは古座水軍と呼ばれた水軍が存在していたといわれ、また水運により紀伊半島の奥地と往来できることから物流も盛んだった。またこの川に沿い古座街道が伸びていた。これは古代からの道大辺路が高波などで通行できないときに重宝したという。
 江戸時代、流域の村々とともに古座組が形成され、周参見代官所の支配地となった。寛永21(1644)の記録では153軒の家屋、346人の人口とともに80艘余りの船舶を有しており、川運及び漁業が既に盛んだったことがわかる。
 当時牟婁郡の中心地として位置づけられており、在郷町的発展もあって醸造業、海運業も早くから発達していたが、基幹産業は漁業であった。特に太地浦などとともに捕鯨が盛んで、鯨方役所が置かれ、明治初年まで続いていた。
 河口付近左岸には古座の町並が川岸に平行に連なっている。その延長は約1kmにも及び、意外なほどの規模がある。南側は比較的新しい家屋や商店が目立つものの、北半分ではつし2階建ての町家風建築、袖壁を両妻に張り出した商家、二階正面部に木製欄干を施した家屋など伝統的な佇まいが見られる。その姿は漁村というより在郷町・商業町としての歴史の方を強く語り継いでいるように感じた。
 古座川の河口付近は川幅が広く悠々とした風情を感じた。












町並に接する古座川河口付近 渡し場跡の文字が見える
  

訪問日:2015.12.28 TOP 町並INDEX