玖波の郷愁風景

広島県大竹市<宿場町> 地図 
 町並度 5 非俗化度 8  −袖壁の多く残る山陽道の宿駅−


 これは長岡酒造所辺りの町並。

材木商、小城家。一階部も改造されず格子などが配置されたままで、風格を感じます。妻部を改修中でした。


 角には高札場の跡もあり井戸が残ります。もちろん復元でしょうが、かつての旅人はは井戸を囲みながら高札に目を遣っていたのでしょうか。






国道より一筋山手にそれたため、奇跡的に昔の風情が残っているのでしょうね。

 

 大竹市の東部に位置する玖波地区は、山陽道の安芸国西端の宿場町であった。今は一見都市近郊の住宅街であるようだが、国道がこの地区の旧街道を踏襲せず、一本山側に残されたために、玖波の町並は現在でも宿場時代の趣を留める結果となっている。
 当宿には本陣も存在したが、牛馬、駕籠などの手配その他一切の駅務は近隣の村の人が請負っていた。これを助郷制と呼んでこの近辺では盛んであった。
 今の玖波の家並は、慶応2年(1866)の長州の役の折、本陣をはじめほとんどが焼き払われ、それ以後に復興されたものである。従って江戸期のものはほとんど存在しないためもあり、家々は比較的2階の立上がりが高く、虫籠窓も見られない。しかし袖壁は多く残り、造り酒屋、材木商の佇まいはなかなか風格を感じさせる。また、辻には高札場の跡が残り、そこには当時の宿場の貴重な飲料水であった井戸「角屋釣井」がある。町並の中で訪問客に対して設置されたものはここに立てられた宿場の説明板だけであった。
 近郊住宅地として新しい住宅も混じる中にあって、ある程度落着いた雰囲気が感じられる。古い町並から新興住宅地への変化の過程の途中にあるようで、住民が意識していかなければこれらは失われていく運命にあるのかもしれない。宿場であったことをいつまでも語り継いでほしいものである。 


訪問日:2001.01.11
2002.11再取材
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