小島の郷愁風景

熊本市西区【港町】 地図 
 町並度 4 非俗化度 8 −熊本城の外港−

   

 熊本市小島地区は熊本市街の西に聳える金峰山の南麓、また市街地を流れ下る白川の河口部にも位置し、西は有明海に面する。
 17世紀後半の寛文期に記された『肥後国誌』では「小島町ト云フ小市アリ」と記述されているが、以後は次第に熊本城への物資輸送の要港として物資の結節点となり、城下からの船はここで大型の船に積替えられ有明海に出て行った。鉄砲2・一両筒1・鑓2が配備され軍事的にも重要な港として位置づけられた。
 明治5年には天皇の西国巡幸の際宿泊地となり、その建物(角屋屋敷)も残っている。明治初期の記録では酒造家1・醤油職1・味噌職1・呉服屋2・旅籠屋2・質屋6などとある。
 かつての町並は白川とその北を流れる坪井川に挟まれた低平なところに展開している。付近は小高い土地が細長く続いており、かつての堤防上だったと思われる。妻入り平入り混在ながらかつての商家を思わせる佇まいが見られ、少し前まで店舗として現役だったのか看板の残る建物もあった。建物の連続性は今ひとつといったところだが、一角には船着場跡なども見られ、河口港であった昔を偲ばせる。
 堤防下にあたる箇所には1818年創業の浜田醤油が現役で、白壁の醤油蔵が威容を誇る。付近には建物などの案内板も見られ、訪ねる者を意識しているのが伺えた。


小島六丁目の浜田醤油付近の町並  









訪問日:2017.06.11 TOP 町並INDEX