遊木・磯崎の郷愁風景

三重県熊野市<漁村> 地図(遊木)地図(磯崎)
 
町並度 5 非俗化度 10  −入江奥に展開する漁村群-



 


 
 



 
遊木町の集落風景


 熊野市から尾鷲市に向けての海岸線は紀伊半島の東側山塊が海岸近くまでせり出し、出入りの多い海岸線を形成している。そのため好漁場を控え、数多い入江には各所に漁村が立地している。
 ここでは熊野市寄りに位置する遊木町及び磯崎町を紹介する。
 両集落に共通しているのは、深い入江で外洋の波浪が遮られ、漁港が発達するに相応しい地形であること、入江奥のわずかな平地から斜面に向けて密集集落が展開している点である。港からは階段や急坂となり、所によっては等高線の方向に横道が伸び、さらに家々が建ち並んでおり、そうした個所からは漁港さらに湾が一望できる。二階正面には、木製欄干が渡してある家屋もある。これは周囲の南紀地域や伊勢地方などの漁村でも見られることから、共通した建築意匠なのだろう。
 遊木町は新鹿地区の大きな入江の東側にさらに湾入した位置にあり、ここまでは外海の波は入って来ないから非常に静かな漁港風景である。藩政時代には紀州藩木本組に属し、半島先端付近の遊木戸崎付近には船見番所が置かれ、狼煙場があって外国船等の警戒にあたった。また浦組と呼ばれる海防組織が結成され、船27隻、鉄砲1が配備されていたという。漁業では鯨船を出したという記録もある。
 磯崎町は新鹿湾より2つ熊野市街地寄りの入江の、こちらもそこから小さくえぐれた小湾奥にある。集落の規模はやや小さいものの、家々はむしろ大柄なものが目立つ。
 ただし、両集落ともに漁港に停泊する漁船の数は今一つ少ないように感じられた。
 
 



 


 


 
磯崎町の集落風景 右下の画像下部には昭和19年東南海地震津波到達点の文字が刻まれる
       
訪問日:2024.09.15 TOP 町並INDEX