九戸の郷愁風景

岩手県九戸村【在郷町】 地図
 
町並度 4 非俗化度 8 −九戸街道沿いに展開する在郷町−








伊保内の町並 商家建築や看板建築が見られる


 県の北東部、北上山地の北端付近に展開する九戸村。村名は戦国期に九戸氏が支配する地であったことによるが、昭和30年の昭和の大合併時までは伊保内村と呼ばれていた。
 江戸初期は盛岡藩、寛文4(1664)以降は八戸藩領・軽米通代官所の支配地となった。地内の河川も八戸に流れ下るものであり、八戸とのつながりの強かった地域である。
 八戸街道から分岐する九戸街道が軽米から伊保内を経由し盛岡藩領の葛巻に達しており、周囲の農山村からの産物が街道沿いに集まることで、在郷町が形成された。
 産業としては、天候不順などにより飢饉に見舞われることも多く、田畑での農業より安定できる木炭生産が古くから盛んに行われてきた。国鉄東北本線開通後は沿線から離れていることで物資輸送に対して不利になり、以後は養蚕業、さらに昭和に入ってからは酪農も盛んに行われるなど変遷してきた。
 伊保内の市街地を縦断するのは国道340号となっているがこれが旧九戸街道で、両側に商店が建ちならんでいる。伝統的な造りのものが混在し、一部はうだつを備えたもの、戸袋に鏝絵調に屋号が記された商家もあった。また看板建築が散見されるのも、同じ街道沿いの軽米などと共通する点で、一時期に建替えの流行が起こったからなのか、そのあたりは定かではない。




訪問日:2018.05.02 TOP 町並INDEX