美観地区の郷愁風景

岡山県倉敷市<商業都市> 地図
 町並度 9 非俗化度 1 −天領として備中の物資が集積した−







倉敷川沿いの倉敷を代表する風景






 大原家の土蔵が連続する町並
 


 日本一知名度の高い古い町並といってもよい倉敷の美観地区。何故このような豪壮な家々が集積しているのかは、ここが江戸期には幕府の直轄領(天領)だったことによる。年貢米、備中国の物資の全てが集積したといってよいこの地区は、問屋がひしめき合い、しかもそれらが富を繁栄した頑丈な造りであったからこそ、このような連続した町並景観が今に残っている。それもさることながらここでは戦後間もない頃から町並の保存活動が起っているのである。重伝建地区などというずっと以前から、人々は古い家並の良さを大切にしてきた。この思想は岡山県下全体に広がったようで、多くの町並が残っている結果につながっているといえるだろう。 
 現在は運河のようになっている倉敷川は、かつては海に接した港町で慌しく荷卸が行われていた。そんな活気は、今は観光客の賑わいに変わっている。
 美観の名の通り、この町並を特徴づけているのは町家群にアクセントを添える倉敷川とその河畔の柳並木である。それらが一体となって他にはない町並景観を呈しているところが、この町並を賞賛に値するものに昇華させたのだろう。
 如何せん観光地となっているため、一部では土産物屋が連続して、構えだけ古い町並風の印象である。しかし往時からの船着場、石橋、そして蔵群などはまぎれも無く当時から語り継がれたものであり、テーマパークのようなイメージは全く抱く余地はない。
 石橋の一つ今橋のたもとにある大原家倉敷を代表する商家で、土蔵が小路の両側に連続し自らが趣深い町並風景を形作っている。蔵が視界一杯に連続し倉敷ならではのスケールの大きい景観だ。川沿いだけでなく裏小路にも数多くの風情を堪能することができる。季節、時間を変えて何度か探訪するに値するものはある。

 







※全て2010年6月再取材時撮影


訪問日:2003.06.15
(2010.06.27最終取材)
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