川西町界隈の郷愁風景

岡山県倉敷市<花街・商業都市> 地図
 
町並度 6 非俗化度 7 −美観地区の西側に展開する知られざる町並−






川西町の町並

 川西町は倉敷駅の南西側にある街区であり、観光客の多く訪れる通称美観地区とは駅前から始まる南北の通りを挟んで対峙している。
 倉敷川の源は高梁川で、市域の北西にある酒津地区に取水口がある。もともとは倉敷自体が海に面しており、高梁川の水運を利用して備北地区との物流を円滑に行うために整備されたものであった。今では美観地区の中央を貫き、最終的には児島湖に注いでいる。
 川西地区はこの倉敷川の西岸にあることから命名されたところだ。旧倉敷村の一部で、その繁栄を享受してきたところであり、地区の東端には流れに沿って土蔵を連ねた豪壮な屋敷が見られる。またその地点から西に向うと木造町家が適度な古錆び方をもって残る町並が連なり、一部は飲食店などの店舗となっている。私がこの付近を歩いていると婦人から声をかけられ、遊郭の取材ですかといわれた。この地区は売春禁止法が施行される戦後しばらく間そのような町であったらしく、一部の建物の意匠にわずかに残照を感じることができる。
 
 




阿知三丁目の町並


 駅前の南北の通りから西側は美観地区の喧騒とはまったく違う空気が支配しており、川西町を外れても、駅に向う商店街は昭和的なレトロ感を強く漂わせるものであり、また南側には虫籠窓や海鼠壁をまとった町家が連続する町並もある。
 大原家とならび国重文ともなっている大橋家住宅はこの地区を代表する旧家となっているが、前者が美観地区の中枢にあるのとは異なり観光客の訪れのほとんどない静かな街路の中に佇んでいた。
阿知三丁目の大橋家(重文・右側)
訪問日:2012.05.21 TOP 町並INDEX