広の郷愁風景

広島県呉市<港町・商業町> 地図 
 町並度 3 非俗化度 8 −看板建築と老舗の見られる商店街−





広本町二丁目の町並 広本町三丁目の町並


 


広本町二丁目の町並 広中新開二丁目の町並


 呉の中心街に次ぐ市街地を持つ広地区は黒瀬川の河口付近左岸に開ける。
 現在は埋立てられた海岸部に工場が立地し、殺風景な印象であるが、かつては広浦と呼ばれる漁村・港町であった。中世には沿岸部を航行する地乗りと呼ばれる緒船が頻繁に寄港した記録がある。
 江戸時代になると、新開と呼ばれる造成地・干拓地が大規模に造成され、耕地や居住地の拡大に大きく貢献した。漁業は近海から讃岐沖にかけての瀬戸内海各地に出漁、各種漁獲を得ていた。また漁網を扱う商人も多く、各地に販売を行っていた。「国郡志書出帳」によると、人数7761、蔵・納屋326、船189等の記録がある。
 国道185号・375号沿いは近代的な風景が展開する一方で、その北西側の街区にはやや古い景観が残っている。この付近は商店街ともなっているが、前面部分に胸壁を立ち上げた看板建築が多く残り、また一部には重厚な商家建築も見られる。これらは昭和戦後になって建てられたものも多いと思われ、古い町並というにはやや純度の低いものではある。ただし昭和レトロという見方をすれば十二分にその価値が感じられるものである。
 この商店街の北側の延長線上には門を従えた邸宅なども見られ、内陸部とを結ぶ街道沿いであったのだろう。また国道185号線に近い南部にも、入母屋の屋根を持つ木造建築や土蔵などが散在するやや古い町並が面的に残っていた。
 
 




広本町一丁目の町並


訪問日:2015.12.13 TOP 町並INDEX