黒石・国分の郷愁風景

大阪府和泉市<農村集落> 地図(黒石) 地図(国分)
 
町並度 4 非俗化度 10  −郊外地と交錯しながら残る集落−

 

 

 

 

長屋門など豪農を思わせる佇まいの見られる黒石の町並 


 和泉市のほぼ中央部、丘陵と平地の交錯するところに多くの農村集落が散在している。ここで紹介する黒石、国分地区はいずれも明確に集落の形を残している。
 両者は槇尾川の谷で隔てられているものの500m程度しか離れておらず、左右岸に対峙した形である。両集落とも江戸期の所領は初期は幕府領ほか幾度か変遷したが、元禄元(1688)年以降は下総関宿藩領として幕末を迎えている。
 農作物は稲や麦、煙草などがあり、農業用水の確保に苦慮し池井懸りと、「泉州志」にある。現在も一帯には溜池が多く見られ、苦労の歴史がうかがえる。
 歴史の深い農村集落ではあるが流石に住宅は建て替えられたものもあり、門や塀、生垣などに面影を留めるのみになっている御宅も少なくない。その中にあって厳かな長屋門が所々に目につき、一部には連続した姿もあった。古い町並としてのまとまりはやや淡い中でこの門の存在が重厚な歴史を物語っているようであった。また、家並の中心には立派な寺があり集落をまとめているような風情を感じた。
 黒石地区にはすぐ近くの丘の上に住宅団地が造成されており、この付近も拡大する都市域郊外地と接している地域なのだろう。それが進むと新興住宅地との境界も曖昧になり、やがて完全に取り込まれてしまうことになるのだが、この二集落も将来的にはそのような姿になってしまうのだろうか。

 
  
 

 

 両集落を結ぶ街路沿いの町並 国分の町並 
 

 

国分の町並
   
訪問日:2022.11.20 TOP 町並INDEX