黒松の郷愁風景

島根県江津市 【漁村】 地図
町並度 4 非俗化度 10 −近海漁業で賑わった漁村−



黒松町の町並
 江津市黒松町は市域の最東端に位置し、弓形に開ける海浜は海水浴場として夏は賑わいを見せる。古くは黒松浦と呼ばれ、地名は白砂青松の景勝地として風光が良いことに因むともいわれ、それは現在の姿からも地名と風景が一致している。
 漁村として栄え、幕末頃には地引網、沿岸漁業が盛んに行われており漁船39隻を有していた。鯖や鯵、鰯をはじめワカメの生産量も多かった。近海漁業が主体であったが石見東部屈指の漁村であったため豊かなところであった。大森代官所の支配地であり、幕府領であったことから経済的に困窮することもなかったのだろう。
 山陰本線の黒松駅から北西方向、三本の細い流れの河口付近に集落が開ける。北側の一部を除いて比較的平坦な地形のため漁村独特の迷路のような路地は少なく、それは土地の確保に困難が少ないからだろう。全体に木質感の高い家並で、1階部分が開放的な造りになっているものが多い。店舗ではなかったと思われるが多くの家でそれが共通している。一部では、袖壁や塗屋造りの商家風の建物も見られた。
 規模や建物の伝統性など、古い町並としての要素はそれほど濃いものではないが、素朴な山陰らしい漁村集落であった。
 










訪問日:2011.11.13 TOP 町並INDEX