御井の郷愁風景

福岡県久留米市<宿場町・門前町> 地図 
 町並度 3 非俗化度 8  −薩摩街道の宿場町 高良大社の門前町−



 
御井地区は久留米の市街中心から東へ約3km、高良山の山麓にある。
 久留米藩領時代は府中と呼ばれる土地で、御井郡随一の在郷町であった。また薩摩(坊津)街道が南北を貫き、藩内では松崎・羽犬塚とならびここに府中宿が設けられた。
 




御井町の町並 右の旧家は残念ながら取壊し工事が始まっていた


 特に当宿は北端に豊後(日田)街道との分岐点もあり、本陣も置かれ交通の要衝として賑わった。宿場町は南北に900mにわたり展開していたという。
 また筑後国一宮であった高良大社は多くの参詣客を集め、門前は市が開かれ芝居小屋などもあって大層な賑わいであったという。
 文化9(1812)年の記録では253軒の家屋が建ちならんでいたという。
 現在も付近の旧街道は比較的よくその道筋を残している。高良大社の大鳥居は地区のシンボルのようだが、残念ながら古い町並という視点では余りその姿を残していない。
 街道沿いの南部に、妻入りの堂々とした商家建築が見られる。2階部の漆喰が塗りごめられた壁に矩形の窓が並び、威厳を感じさせる。屋号大鍋屋とのことだが、残念ながら訪ねた時取壊し工事が始まろうとしていた。もともと伝統的な建物は極僅かしか残っていない状態の上にこの建物がなくなると、古い町並から歴史を感じることはほぼ不可能なものになろう。





訪問日:2016.07.18 TOP 町並INDEX