今町の郷愁風景

宮崎県串間市【港町・漁村】 地図 
 町並度 5 非俗化度 9 −日向南端の港町−



今町(西方)の町並
 串間市は宮崎県の最南端、市域には野生馬が生息する都井岬の半島もあり、南国らしい海岸線が続く。西は鹿児島県に接している。








 古くは福島と呼ばれる土地であった。戦国期に櫛間城が存在し、諸氏が居城していたが、天正15年(1587)年に財部(高鍋)に秋月氏が入り、一時はこの福島に居を構えた。僅かな期間であり再び財部に戻ったのだが、福島はそのまま高鍋藩秋月氏の飛地として幕末を迎えている。
 このように政治的にはそれほどの要地ではなかったが、日向南端の海の玄関として港・漁村として発達した。その中心が今町地区で、現在の串間市街域を東西に流れる河川が合流しつつ河口を形成し、天然の入江を形作っている。港を構えるには絶好の地形であった。
 漁業も盛んでここを拠点とする漁船は数多く、また明治になると阪神方面に定期船が就航している。
 河口部の西側、現在西方と呼ばれる地区が今町と呼ばれたところだ。市街中心方面から国道をたどるとやがて橋を渡って直角に右に折れ、川沿いに西進するが、その南側が港町・漁村として栄えたところだ。道幅が狭く、俄かに渋さを感じさせる家並となる。伝統的建物が多数連続する箇所は少ないものの、妻入・平入、切妻・入母屋などさまざまな外観の建物が見られ、古い町並を残していた。中には石積の厚い塀に囲われた敷地の広い邸宅も残っており、厳かな母屋を見せていた。
 








 

訪問日:2014.01.03 TOP 町並INDEX