馬籠の郷愁風景

岐阜県中津川市注)<宿場町> 地図 
 町並度 7 非俗化度 2  −木曽路最南端の宿駅−













坂道に沿い連続性の高い町並が残る馬籠の町並
 
 馬籠は中山道の宿駅としては知名度の高いところで、それは島崎藤村の「夜明け前」の舞台となったことが発端だろう。観光客の多さでは、中山道中で木曽谷南端の馬籠と双璧をなしている。
 馬籠は木曽路の南端とはいっても妻籠との間の馬籠峠により木曽谷とは隔絶されており、坂道からは美濃路の丘陵の広がりを望むことができる。旅人にとって転機となるようなところだ。
 本陣島崎家は後に藤村を生み、現在はその土地に記念館が建ち観光客の集うところとなっている。旅籠は20弱と中山道としてはやや少な目であり、しかも明治時代に大火が発生し根こそぎ消失している。現在見られる建物はそれ以後に再建されたものだ。
 しかし伝統的な古い町並としては連続性の高いものが残されている。坂道に沿い展開しているのが最大の特徴で、ほぼ一直線であるが南端付近で枡形がある。南部では格式ある商家も幾つか残っていた。観光客を相手にする土産物屋も眼につくがそれほど目立つものではない。古くから訪ねる客の多いところであり、店舗としても観光客におもねるような構えのものではなく、どの店も或る程度伝統的にそのような商売をされているからだろう。
 また街道に面して緑が多いのも印象的で、軒先に小さな花壇や鉢などを置いて季節の草花を育てておられ、また前庭に樹木を茂らせている例もある。明治の大火後、家々は復旧にあたり密集型の家並ではなく、少し建て方に余裕を持たせるように工夫されたのかもしれない。そのことが一際風情を感じさせているように思われる。




注)このサイトでは、所属自治体名の表記は平成の大型合併以前のものを原則としているが、この馬籠地区は長野県山口村→岐阜県中津川市と県を越えた合併が行われており、例外として扱うものとする。


訪問日:2011.07.18 TOP 町並INDEX