成生の郷愁風景

京都府舞鶴市【漁村】 地図 
 町並度 6 非俗化度 8  −ブリの好漁場を持つ古くからの漁村集落−





海岸線に沿い舟屋の見られる成生地区の風景
 

 舞鶴市成生地区は市域の北東、若狭湾に向けて突出した半島先端付近を占めている。海軍の基地であった舞鶴湾の防備のため、半島先端には軍による灯台や官舎などが置かれ、灯台は現在も海軍時代のものが使用されている。
 藩政時代は丹後国加佐郡に属し田辺藩領であった。半島東岸の海域は恵まれた漁場で、特にブリの回遊が盛んであり古くから有名な所であった。多くは漁業を生業としていたが、半農半漁であったようで、柿や胡麻、綿などが運上
(物品で納める税のようなもの)に挙げられていた。
 明治期の記録によると産物は漁獲物のほか桐の実や麻苧
(麻で造られた紐)などが産物として記され、それらは海路舞鶴や宮津、小浜など若狭湾沿いの各地に送られた。また荷船9、漁船11を有し人数130と記録されている。
 集落へは峠越えの道で比較的容易に集落に達することが出来るが、もともとは海運主体で島と同様の状況であったのだろう。道の行き止まりの奥まった所という風情であった。小さな入江奥に家並が見られ、近代的な漁港の建物も見られたが、特徴的なのが海岸付近にある舟屋の姿だ。今は前面がコンクリート舗装され車が通れるが、かつては舟屋から直接漁船が出入りしていたに違いない。今は駐車場として軽トラック等が置かれていた。
 海岸線から山側に向う路地が幾筋かあり、家々が密集している。土蔵を持つものもあり風情を感じる路地であった。中心付近に鳴生神社がある。立派な構えの社で、この存在で一つの完成した集落という印象を受けた。




鳴生神社鳥居前
 



 




訪問日:2023.10.22 TOP 町並INDEX