丸亀港界隈の郷愁風景

香川県丸亀市<港町・花町> 地図 
 
町並度 3 非俗化度 8 −金毘羅参詣客を迎えた港−


丸亀の郷愁風景
 日本一高い石垣に守られた丸亀城は現在でもその姿を残し、この町のシンボルとなっている。当時は濠が水路を介して港と直結していた。ここではその港付近の風景を紹介する。
 西讃の政治・経済の中心であった丸亀は港も重要な施設であり、各地との物資の行き来が盛んであった。城下町人の要望に応え、藩は天保2(1831)年に港を拡大している。
港に接して残る木造旅館建築



西平山町の町並

 城下への物資の出入りの他にこの港が栄えたのは金刀比羅宮への参詣客を多数受入れていたからであった。特に備前以東の客が多く利用し、金毘羅船と呼ばれる定期船が大坂との間を往来していた。団扇が名産品の一つとして知られているが、これも金毘羅参りの土産として売られたのが始まりといわれている。




福島町の町並


 明治以後もその賑わいは続いて、港周辺は船便を待つ客を中心に賑わい、繁華街が発達した。鉄道の開通や参詣習慣が薄らいだことにより現在は静かな界隈であるが、歩いてみるとその残像を少なからず見ることが出来る。
 近年まで下津井とを結ぶフェリーが発着していたが、今では旅客船としては近隣の諸島を結ぶ小型船が発着するだけの丸亀港。古い港はそこから入組んだ湾奥にあり、周囲は古い町の雰囲気を漂わせていた。新しい港は埋立てによって沖に張出したものなのだろう。
 港に面して、木造の大柄な旅館建築がある。金毘羅参りの客が船待ちの際、宿泊することも多かったのか、この界隈には旅館がひしめいていたに違いない。一部では今でも営業されている姿を見ることが出来る。多くは商人宿だろう。
 さらに遊里をも想起させる建物も散見されるのが特徴で、宿泊客の歓楽地として機能していたことが想像できる。一階部にタイルの意匠の見られる洋風の建物もあった。今では駅裏となっていてひっそりした地区だが、当時どれほどの人の往来があり、賑っていたか。所々空地も見られる今の姿からは、すぐには想像は出来にくい。




新町の町並 もと遊郭を思わせる洋風の建物が残る 浜町の町並
訪問日:2007.08.14 TOP 町並INDEX