二条の郷愁風景

島根県益田市【在郷町】 地図
 
町並度 3 非俗化度 10 −長門との境近くに位置する小さな在郷町−




二条(上黒谷町)の町並


 益田市の郊外、市街中心から10km余り南西で山口県に接する位置にある二条地区。古くは二条村と呼ばれたが、益田市に編入後は村を構成していた上黒谷・桂平などの集落名が継承され、二条は通称の地区名となっている。村名は中世に存在した黒谷城・横山城の二城に由来するとの節がある。
 数本の県道が合流・分岐しており、古くからの交通の要衝と推測できる。また、付近の県境部は山地で区切られているが、この二条地区の西側のみ川が流れ貫いていることから、長門方面との流通が容易だったことにもよるのだろう。津和野城下と海岸部の飯浦を結ぶ街道、また分岐する街道を西進すると長門北端の港町・江崎にも通じていた。近隣の物資が集まり、小さな在郷町を形成していた。産業としては林業や紙生産が盛んで、大正9年には75軒もの製紙家があったという。また木炭を生産する家も多かった。
 郵便局などの見られる県道沿いから一本北の脇道が旧道らしく、小規模ながら古い町並が残る。商家を思わせる平入りの建物、土蔵などが見られ、洋風の構えを見せる建物もあったが、更地となっている箇所も目立つ。
 集落外れの高台に古びた木造建築の中学校があった。廃校となっているが立看板があり、最近まで現役の校舎であったとわかる。それにしても集落の規模と比較すると不釣合いに大きく感じる。それだけ人が離れていったのだろう。寂しさを感じる町並探訪であった。
 




集落近くには最近まで現役の中学校があった


訪問日:2018.05.06 TOP 町並INDEX