大浜の郷愁風景

  島根県益田市<漁村> 地図  
 町並度 5 非俗化度 10 −狭い街路沿いに密集する漁村集落−





 益田市の東部、日本海に面して大浜地区がある。平地はほとんどなく背後に丘陵が迫っており、海岸に沿うように集落が展開する。
 江戸期より木部村と呼ばれたところで、この大浜の他木部・大谷の計三浦で構成されていた。18世紀後半の安永期の記録では700人弱の人口を有し、漁業が主体の漁農村であった。漁業は主に大敷網、地引網等の近海漁が行われた。
 同じ村内とは言いながら漁場は区別されており、しばしば境界論争が発生した。その中で大浜浦は中心的な位置を占めていたようで、船着場や庄屋も置かれ、郵送の継場となっていたという。
 半円形状の穏やかな入江を持ち、一角には近代的な漁港も整備されているものの、海沿いに小型の漁船が横並びに陸揚げされている姿などを見ると昔ながらの漁村といった風情を感じる。
 集落内の街路は乗用車の往来も困難なほどの狭さで、これが従来からの集落内の唯一の道路だったのだろう。漁村らしく高い密集度で、所々に格子が残る漁家、漆喰を塗られた土蔵などが見られる。
 山陰地方では漁村集落でも比較的整えられた佇まいのところが多く、街道集落に近い形態をしめすものもあるが、ここは密集型の漁村らしい姿であった。










訪問日:2015.07.19 TOP 町並INDEX