高津の郷愁風景

島根県益田市【港町・門前町】 地図 町並度 4 非俗化度 9 
−高津川河口部の海運・川運双方の湊町 柿本神社の門前町でもあった−




 県の西部、益田市の市街中心から高津川を渡った左岸側一帯はかつて高津村と呼ばれ、港町であると同時に柿本神社の門前町でもあった。
 江戸期を通して津和野藩領であった。河口部に位置するこの地区は藩にとっても物流上重要で、代官所が置かれ、複数の庄屋が指定された。
高津の町並 突当りは柿本神社






 中期以降に北前廻船が増加すると港町としての発達が本格化し、高津川の舟運と相まって大変な盛況を示したという。幕末頃の記録では、1700人余りの人口を有し、高瀬船6・商船25・漁船6を所有、また酒屋2・質屋6など商家も立地した。
 この地域は鉄道の開通が比較的遅かったこともあり、明治に入っても港町として重要な位置を占め続け、明治30年代の記録では廻船22を有し、北九州方面との交易が盛んに行われていた。
 古い町並は現在柿本神社門前付近に展開している。階段下から直線的に家並が連なり、高津川にぶつかるあたりまでが町の中心だったのであろう。柿本神社は明治以降県社となり、門前町には旅館が3軒あったという。海岸からも離れた位置にあり、町並の様子からは港町らしい風情は感じられない一方、商家風の建物が目立つ。中には袖壁を従えた間口の広いものも残されている。多くは店舗だったらしく1階部は開放的な構造となっていた。門前の賑わいが想像できる風景である。








柿本神社

訪問日:2018.05.06 TOP 町並INDEX