松任の郷愁風景

石川県松任市<商業町・宿場町> 地図 <白山市>
 
町並度 4 非俗化度 8  −交通の要衝・物資の集散地として発達−


 

 西新町の町並
 

 

 東新町の町並  東一番町の町並
 

 

 東二番町の町並  旧吉田家(松任ふるさと館)


 日本海にそそぐ手取川扇状地の中央に位置する松任の町。金沢の市街地からも10km足らずと近く、郊外地的な性格を持っている。
 古くは農村地帯だったが、江戸期に入り北陸街道が整備されるとその宿駅が置かれ、また鶴来方面からの街道も合流し交通の要衝となった。往来が増した江戸中期以降は近隣地域の物資が集まり、在郷商業町として飛躍的に発達をみた。産業も菜種油の製造、織物や染物などの繊維産業が大きく発達、絹判賃役や紺屋役といった小物成(租税)を課税し統制していた。
 松任町はまた寛文6(1666)年には45匹の馬の配置が記録されている。物資の輸送が盛んであったことを示している。
 明治以降も拠点性は変わらず、同31年北陸本線が開通すると加賀平野一帯で産出される米の積出し駅として重要な位置を占めた。また松金鉄道馬車と呼ばれる馬車鉄道で金沢とが結ばれるなど、金沢の近郊地としての発達も始まった。戦後昭和30年代から近郊地区としての開発が急速に行われ、昭和45年松任市として市政が施行されている。
 駅から南に向うと、右手に緑濃いエリアが見られる。中世には松任城が構えられた場所で、一国一城令で廃城となって久しいがこうして歴史を伝えているのは貴重なものである。そこから500mほど南に、かつての北陸街道が東西に道筋を残している。周囲はほとんど新しい建物に更新された中で町家形式の佇まいや寺院も散見され、その対照が際立っている。古い町並というほどには密度は濃くはないものの、紙店や糀店などの看板を掲げた小売店の姿も見られ、古くから賑わっていた区域であることがわかる。
 東西の通りの西新町・東新町、東一番町の交差点から北に折れて東二番町にかけて古い建物が見られる。また、駅近くにある松任ふるさと館は、明治時代から各種商業で財を築いた吉田家の建物で、移築されたものであるが立派な造りの主屋は見学の価値がある。移築は大正期と古く庭も見事であり、町の風景に溶け込んでいるようで不自然さは感じられなかった。
 
 

訪問日:2025.10.20 TOP 町並INDEX