鮴崎の郷愁風景

広島県東野町<港町> 地図 <大崎上島町>
 町並度 4 非俗化度 10 −廻船業も盛んに行われた港町 遊興要素もあった−
 






鮴崎(めばるざき)の町並
 

 鮴崎
(めばるざき)は大崎上島の北東端、竹原市の南沖8kmほどにある集落である。地名は付近の海域で鮴が多く漁獲されたということに由来するという。
 本土に最も近いことから「島頭」と呼ばれ、航路も古くから開かれていた。その歴史は古く、18世紀後半頃から風待ち・潮待ち港として重宝され、また西廻り航路の商船、通称北前船も立寄ることがあったという。九州と阪神とを結ぶ石炭船なども頻繁に寄港した記録がある。明治以降になっても、島内でいち早く灯台が設置され、船具店が集積したという。
 最盛期には船宿も多く存在し、その中には遊興的色彩を呈していたものもあったという。その点は近隣の木江や御手洗とも共通するものがあり、船員たちはひと時の歓楽の場としてもこの港を利用した。
 現在も港として本土との旅客船が行き来しているが、島の突端といった位置にあること、平地が乏しい地形にあることから今ではかつての賑わいを感じることは難しい。そんな中で集落内を歩いてみると、今でも旅館の看板を掲げた姿も見られる。また木造三階建の家屋が幾つか眼につく。狭い土地のこと、これらも旅館だった名残なのだろうか。
 しかし今表向きから感じるイメージは、貿易船・商船が頻々と発着した港とは思えない静かな島の小集落だ。




 
訪問日:2016.01.03 TOP 町並INDEX