御船の郷愁風景

熊本県御船町<在郷町> 地図
 
町並度 3 非俗化度 8 −上益城地方の中心地−






 県域中部の内陸に位置する御船町は御船川に沿い、川運を仲立ちに上益城郡の中心として古い歴史を有している。わずかな期間ではあるが熊本県庁がおかれていたところでもある。
御船の町並 わずかではあるが伝統的な建物も残る


 御船川の水運により上流側の諸村からの物資が集結され、古くから商業が立地した。特に酒の醸造が盛んでその名も広く知れ渡っていたという。これは熊本城下という大量消費地を控えていたことでその需要も多かったからだろう。
 また御船川そのものも町の歴史の変遷そのものであった。加藤清正の支配下となったとき、洪水の常襲地帯であった当地を守るため、緑川への放水路が整備されている。またこの地域一帯で盛んに建設された石橋は、多雨地域であることから頑丈な橋梁を建設する必要性から生じたものともいえ、今でも残っているものはランドマーク的存在となっている。当地にも御船川眼鏡橋という象徴的な石橋があったのだが、昭和末期の大水害で失われてしまったのだという。
 古い町並もその時に多くが失われ、酒蔵の連なる風景もそれまでは生きていたそうだ。
 現在御船川の左岸に少しばかりの伝統的な建物が残る。漆喰の塗屋造りで、海鼠壁を有するものもあった。連続性はなく散在の域を出ないが、貴重なのは旧熊本県庁の遺構である。これは西南戦争の折、熊本市街地が戦火に包まれてしまったため、それを逃れるためこの御船の地に仮の県庁を設置したものである。わずか2日間に終わったというが、そのような事象からもここが重要な位置づけをされていた所であったことがわかる。






旧熊本県庁跡







訪問日:2011.04.29 TOP 町並INDEX