黒山の郷愁風景

堺市美原区<農村集落> 地図
 
町並度 5 非俗化度 8  −郊外地に取込まれながらも濃厚に残る路地の町並−

 

 

路地に沿い展開する黒山の町並 左はもと郵便局の建物 


 堺市の東部に位置する美原区黒山地区。付近の地図を見ると、この黒山地区は細い路地が交錯しているのがわかり、古くからの集落であることがうかがえる。古くは黒山郷とよばれ、奈良時代にはその名が見える。古代より街道がこの地区を通り、その街道町としての歴史に遡ると推定されている。
 中世には河内鋳物師の本拠地とされ、ここを拠点に全国各地に鋳造技術が伝わった。
 黒山地区は美原区の役所から南西にわずか200mほどのところである。周囲は高速道や幹線国道の他、徒歩圏内に大型商業施設なども見られ郊外の典型的かつ画一的な町の風景が展開している。ところがこの区域に足を向けると俄かに路地が支配する古い町並となる。誠に奇妙な展開である。それは郊外風景との境界があいまいになっているために逆に際立っているようだ。
 南側の府道側から入るとまず目につくのが東西に長々と連なる門や塀で、それに囲まれるように古い家並が見られる。せいぜい東西200m、南北100mほどの狭い範囲ながら濃密な町並である。象徴的なのが一本北側の小路だろう。長屋門が向き合う風景もあり、またある屋敷では通りに面して窓口のような構造が見られる。ここはもと郵便局だったと云うことで、集落や周辺一帯の中心地であったことを示している。今では通過点ともならず、すっかり裏小路となったこの路地の賑わいは、かつてどれ程のものだっただろうか。
 市の指定した保存樹木として、幹の周囲3mもある楠の大木のある屋敷など、周囲とは全く別次元と思える風景が展開していた。
 

  
 

 

 

 



  

訪問日:2022.11.20 TOP 町並INDEX