三川内の郷愁風景

長崎県佐世保市【産業町】 地図
 
町並度 4 非俗化度 6  −平戸藩の御用窯であった三川内焼−






登り窯や煉瓦煙突の見られる三川内・皿山地区


 佐世保線で大村線との接続駅・早岐に到着する手前に三河内という駅がある。三川内焼という焼物で知られるところだ。この地域に有田・伊万里を筆頭として製陶町が多いのは、秀吉の朝鮮出兵の折に肥前の大名たちが朝鮮半島の陶工を連れ帰ったことに由来するという。良質の陶石が多く発見された事も後押しし、各地で製陶業が発達した。
 平戸の第26代藩主であった松浦鎮信が連れ帰った陶工が藩命により窯入れを行ったが、平戸では良い陶土が得られず、各地を調査してたどり着いたのが三川内だった、というのが三川内焼の始まりといわれる。1650年頃には平戸藩の御用窯はほとんどここに移され、一大製陶地となった。今でも別名平戸焼と呼ばれるのはそのような由来があるからである。
 平戸藩は南蛮貿易を盛んに行い、製品は海外にも多く輸出された。後にオランダ商館が長崎出島に移動してからも続けられ、藩にとっては基幹産業の一つともなった。
 明治維新後は一時衰退したが、民窯として復活を遂げ、現在でも多くの窯元が伝統を受け継いでいる。
 佐世保線の駅から南へ2kmほどの谷沿いが中心地である皿山地区で、登り窯や煙突のある風景が残り焼物の町の風情を感じる。御用窯の歴代棟梁を祀った陶祖神社、代官所跡など藩営時代の名残、廃棄された窯を再利用したドンバイ塀などが見られ、窯元をはじめとした伝統的建物が散在し、興味深い探索が楽しめる。
 








ドンバイ塀の小路

訪問日:2018.01.02 TOP 町並INDEX