加茂町は津山市の北に位置する典型的な農山村で、因美線が町を貫いているが、運転本数は少なく優等列車もない。
江戸期は津山藩領に属していたが、藩による農民への年貢徴収が苛烈であったことから大規模な一揆も勃発している。周囲の山村の農産物が集約され、わずかながらも在郷商業町的な町場が形成されていた。
産業はこの地域一帯の要であった製鉄業よりも主に農業で、米や麦などの穀類、牛の飼育などが盛んに行われ、また養蚕業も行われた。殊に加茂牛と呼ばれた牛の養育は他地域にも評価され、取引されていった。
町の中心は吉井川の支流加茂川にその支川が合流する盆地状の平地に開けている。小さな町ではあるが袖壁を従えた切妻型の町家建築が所々に残っている。また一部には板塀に囲われた邸宅も見られ、小規模ながら商業の集積があったことを物語っている。
津山線は前記のような状況であるし、幹線国道もないため通過点にもならない地区であり、山間の静かな農山村といったイメージである。
|