落合の郷愁風景

岡山県落合町【商業町】 地図 <真庭市>
 
町並度 3 非俗化度 10  −旭川の川港町−






 落合町は旧美作国の南西端を占め、備前・備中と境を接する位置にあった。落合の名は旭川に備中川が合流するところという意味を持つものであった。
 中世以降川港として発展した所である。
落合町垂水地区の町並




落合町垂水地区の町並

 

 旭川は岡山城下を流れ下っているため、その流域にあり舟の遡行も可能なこの流域には川港が発達した。現在の町の中心付近にあたる垂水村や向津屋村をはじめかつて町内に6ヶ所の港があり、川を上り下りした。元禄期の記録では垂水と向津屋で30余艘の川船を有していた。ここに港が発達したのは備中川が合流することの他に、落合から岡山の京橋まで丁度一日で下ることができ、上流の久世や勝山などから下ってきた舟がここで一泊することが多かったからだそうである。
 また山陰からの旅客はここから舟に乗ることが多かったことで、船宿が多く立地し町はにぎわいに満ちていた。岡山城下のみならず瀬戸内地域、大坂、その他各地への物流や人々の通過点となり、また逗留する場所となった。
 落合町の中心、垂水地区は旭川の流れがほぼ直角に反曲する位置にあり、町の南で備中川が合流している。いかにも川港が発達しそうな地形である。町場は右岸側に開け、国道の走る川堤の下に市街地がある。
 残念ながら伝統的な建物の割合は低い町並で、問屋や船宿が連なっていたであろう面影は淡いものだった。かつての商家を思わせる、切妻平入りの町家建築も幾棟か見られるが、大半は現代風の商店に改装されている。アーケードが設置された商店街もあるが人通りもほとんどなく、町の人はちょっとした買物となると久世辺りにある大型の商店に向うのであろう。
 しかし一角には立派な料理旅館が現役で残っていて、殷賑の川港時代をわずかながら感じることができる。
  





一角には立派な料理旅館も見られる


訪問日:2008.09.04 TOP 町並INDEX