三本柳の郷愁風景

滋賀県水口町<街道集落> 地図  <甲賀市>
 
町並度 3 非俗化度 9 −東海道の脇道としても使われた街道沿いの集落−






 



 
 



 
三本柳の町並


 草津線の貴生川駅は小さいながら八日市、彦根方面に近江鉄道、信楽方面に信楽高原鉄道の二本の路線が分岐する拠点駅となっている。
 川を挟んだ三本柳地区。県道の東側にひと目で旧道と判る街路が残っている。杣川の左岸から家並が始まり、国道305号「庚申口」交差点手前で県道に交わるまでの400mほどの間である。
 これは一時東海道の脇道としても使われていたもので、杣道、杣街道と呼ばれ三雲で分れこの三本柳を通り、柘植、加太を経て関で再び東海道に合流していた。鈴鹿峠を越える東海道より起伏が少なく、湖南から伊賀へ抜ける伊賀道として、また伊勢参りの客の往来も多かった。三本柳には杣川の渡しもあり、宿場町的な賑わいもあったという。
 また、ここから信楽方面に向う街道が分岐しており物資の往来も多く商業が発達した。江戸期は幕府領で、在町として三本柳村が分立している。
 この旧同区間を歩くと明らかに街村という風情の家並が連なるが、戦後になって度々風水害を受けていることもあり古い建物の割合はそれほど多くない。それでも格子や虫籠窓を残す切妻・平入の建物、屋号が鏝絵のように刻まれた袖壁など、かつての賑わいが伝わってくるものがあった。

訪問日:2023.06.04 TOP 町並INDEX