福岡の郷愁風景

岐阜県福岡町【商業町・山村集落】 地図 <中津川市>
 町並度 3 非俗化度 10  −中津川北郊にある小さな町−




福岡の町並 旅館建築が見られる


 下呂と中津川を結ぶ国道257号沿い、中津川の市街地から北に10km弱のところに福岡の町がある。
 中世には苗木城が置かれた地で、江戸時代は苗木遠山氏の支配下にあった。苗木藩は1万2千石の小藩で、狭い領地は農業生産性の低い山間部が多く、この福岡地域も例外ではなかった。そのため田畑に活用できる土地が狭く、農民は余業として山稼ぎ等を行い収入を確保せざるをえなかったという。それらから大工、桶工、指物師などへ転向するものもあったため、若干の商工業も発達していたと思われる。
 また特徴的なものとして馬子
(馬を引いて荷物を運搬することをなりわいとする者)の多さが挙げられる。馬子たちは林産物や加工品を中津川の材木・板問屋まで運ぶのを常としていた。
 明治以降は養蚕が盛んになり、昭和初期頃には恵那郡内でも上位に位置する生産量を誇った。






 現在の町の中心部では、町並の雰囲気は山村集落というより在郷町的な様相であった。伝統的な建物が残る箇所は国道東側の旧道のわずかな区間であり、それも数棟にすぎないが、その中で旅館の文字が見える堂々たる二階建が古い町並としての中心的建物であった。
 いつの間にか通り過ぎてしまうような小さな町であり町並である。



訪問日:2017.07.16 TOP 町並INDEX