白川の郷愁風景

岐阜県白川町<産業町・在郷町> 地図
町並度 3 非俗化度 10 −飛騨地方に接する谷あいの町−






 白川町は県の南部やや東寄り、飛騨川に沿い展開する。飛騨川はこの付近から上流では深い渓谷となり、険しい道が続く。支流の白川が合流するわずかな平地に小さな市街地が開けている。
 江戸時代には苗木藩領・幕府領・尾張藩領と3領地にわかれており、各々財政を豊かにするため農地の開拓を奨励した。桑、茶、楮(こうぞ)、煙草、コンニャク等を商品作物とし、農業を中心に、白川上流からの物資が集まるところとして、小規模な在郷町的賑わいを示していたのだろう。
 明治維新後は養蚕業が発達し、大正末期では桑畑が全耕地の3割に達し、繭は農産販売額の8割を占めるほどとなった。また製糸などの関連産業が興り、町は隆盛期を迎えた。また茶の栽培も盛んで、これは白川茶として現在でも知られているところだ。
 白川の左右岸に川筋と平行に市街地が開ける。現役かどうかは定かではないが旅館の看板を掲げた古い建物が複数見られ、また木製欄干が2階に残る家屋も多く、商業町、交通の要衝として賑わっていたことを伺わせる。伝統的な建物は散在的であり、古い町並としては今ひとつの風情だが、そのようなかつての繁栄に思いを馳せながら町を歩くのも興味深い。
 白川は格好の鮎の漁場らしく、訪ねた時は多くの釣り人が川の中に入り友釣りを行っていた。
 









訪問日:2017.07.15 TOP 町並INDEX