三島の郷愁風景

静岡県三島市【門前町・宿場町】 地図 
 
町並度 3 非俗化度 6  −三嶋神社の門前町 東海道の宿場だったが痕跡無し−





三嶋神社門前の町並
 

 三島市は静岡県東部の伊豆半島の付け根に位置する町で、東海道本線や国道1号線も通り新幹線の駅も設置されているため余り意識されることはないが、西に接する沼津とは異なり江戸時代は伊豆国に属していた。今も伊豆箱根鉄道がここから修善寺に向けて伸びるなど、伊豆の玄関口となっているのがうなづける。
 この町は、伊豆国一宮であった三嶋大社によって発達したといってもよい。奈良時代より記録が残るという非常に歴史の古い神社で、鎌倉期には伊豆国総社に格付けされている。
 江戸時代になると幕府から300石余りの社領が与えられ、その後も加増されて政治的権力も持つようになった。
 この神社の発展そして賑わいは鳥居前が東海道に面していたことも大きい。三島宿は、東に箱根越えを控え、南に下田街道を分岐する要衝として大きな宿場町を形成していた。本陣も2軒具備された本格的なものであった。
 三島大社は市街中心部に広大な緑地を展開させており、さすが格式ある神社という風格を感じる。残念ながら旧東海道の道筋には、町並風景としては宿場町を感じさせるものは一切残っていない。その代わり、看板建築が比較的まとまって残っていた。これは家屋の二階正面部にコンクリート製の胸壁を立上げ、前面を拡張したもので、商店はそこに屋号を記したり看板を掲げたりしたため看板建築と俗に命名されているものである。関東大震災以降の東京を中心に普及したとされるが、関東の地方都市をはじめ全国の所々でも見ることが出来る。古い町並というにはやや違和感があるかもしれないが、これがある程度固まって残ることで、独特の町並展開を感じる。
 この周辺は、富士山の伏流水が豊富で、あちこちに地下水が湧出し、豊かな水のある風景がある。市街地からは少し外れるが、名水百選にもなった柿田川湧水群も近くにある。
 
 








看板建築と呼ばれる独特の商店が見られる 右は三嶋大社本殿

訪問日:2015.05.03 TOP 町並INDEX