野波瀬の郷愁風景

山口県三隅町<漁村> 地図  <長門市>
 町並度 4 非俗化度 10 −江戸期より漁業の盛んだった集落−
 


 野波瀬地区は三隅の市街地から小山を越えた海岸線にある漁村集落である。眼前の海は青海島に波を遮られる形となり比較的穏やかだ。大きな集落ではないが漁港の体制が整えられている。
野波瀬漁港の風景




集落内は商家建築を思わせる建物も見られる
 

  江戸期から漁業が盛んで、また少数ながら廻船も行われていたといわれる。『地下上申』によると、「鰯漁を本業に仕、於時に鮪漁仕候事」とある。『注進案』では「野波瀬浦海上石65石余」と記される。
 明治に入ると浦惣代と呼ばれる役が1名浦民の間から選定され、浦の諸事を取りさばいた。またその下に浦若という役を置き浦惣代の仕事を補佐していた。これらは後に漁業組合として組織され、数々の漁業権を得て発達した。
 漁港背後の平地は狭く、密集した集落を形成しているが一部に耕地も見られ、土地には多少余裕が感じられる。港に近いところほどしっかりした構えの御宅が多く、商家を思わせるものも見られた。「鮪漁」などで財を築いた漁家なのだろうか。長門地方らしい赤瓦のほか、黒瓦が比較的目立つのも特徴と言えよう。
 空家になっている姿は余りなく、漁港の佇まいもあってか比較的活気の感じられる集落であった。
 




 

 

   

訪問日:2021.07.20 TOP 町並INDEX