大田・真名の郷愁風景

山口県美東町【在郷町・宿場町】 地図(大田) 地図(真名)<美祢市>
 
町並度 4 非俗化度 10 −萩との往還にも面した内陸の在郷町−
 








大田の町並


 県の西部、秋吉台に程近い位置にある美東町。丘陵が交錯し平地には田園が広がる長閑な地域である。
 ここで紹介する二つの町並は周囲からの物資の集散地として古くから栄え、また往還沿いにもあり賑わったところであった。
 大田は公的機関も集まるある程まとまりのある町場である。山口県は一般道がよく整備されており、中国自動車道直結で萩までの無料の自動車専用道が近年開通している。それを使いあっけなく到着してしまうが、かつてはここは萩と山陽道沿いの小郡、船木という二つの宿場とを結ぶ往還が通じており、代官所が置かれ、宿場機能もあったという。
 江戸後期の天保年間の記録では、大工・木挽が20軒、桶屋が3軒、鍛冶屋9、紺屋4などの商工業を営む者がおり、家数71軒を数え大田市と呼ばれていた。また往来の通行のための人馬が常備されていた。
 宇部市に流れ下る大田川が大きくメアンダーした中に抱き込まれるように町が展開しており、先の小郡萩道路、県道に挟まれ旧市街地は安泰である。旧往還と思われる南北の街路に沿い、長門〜山陰系の赤褐色の屋根でほぼ統一された家並が残る。平入り妻入り混在、連続性はそれほど高いものではないが歴史のある町であることは一目で判る町並だ。


真名の町並


 
 一方真名地区は、大田地区から南東に5kmほど、位置的には中国自動車道の美東SAからすぐのところにある。こちらも江戸期には真名市と呼ばれ商業が発達していたようだ。「注進案」によると16軒の商工業者、また藩の米蔵も配置されていた。
 大田と同様赤瓦屋根の家並で、小規模ながら古い町並を残していた。土塀や煉瓦塀を持つ邸も見られ、周囲の田園地帯との対比が際立つ町並であった。
真名の町並

訪問日:2014.11.03 TOP 町並INDEX