川浦の郷愁風景

山梨県三富村<山村集落> 地図 <山梨市>
 
町並度 4 非俗化度 10 −笛吹川の谷を見下ろす意外性の集落−





煙抜きや突上げ屋根のある民家が特徴的な川浦(雷)集落




 甲府盆地から埼玉県秩父地方に抜ける国道140号、山地に入って10km弱進むと、笛吹川の谷間に三富温泉の幾つかの旅館が見えてくる。その付近から東に山腹を登ると案外に開けたところに出、集落が現れる。旧三富村に属する川浦地区である。
 『東山梨郡誌』によると養蚕や麦、トウモロコシなどの農業と造林・木材伐採・木炭生産などを営む純粋な山村集落であった。また往時から秩父方面への往還として使われていた谷間の道筋には川浦口留番所があり当村も守衛に当たっていた。
 ここで紹介するのは川浦地区の中でも雷と呼ばれる集落で、斜面上の開けたところに展開し笛吹川の対岸が雄大に見渡される。家々は多くが伝統的な姿を示し、この地区特有の養蚕に適した構造を有していた。或るものは突上げ屋根といわれる二階部を平部の中央に立ち上げ、他のものは複数の土蔵を従えている。梁組を壁面に現した真壁の建物も多く見られた。
 地区にある民宿に宿泊したことでたまたま発見・探訪できた集落で、思わぬ収穫となった。重伝建地区となった下小田原上条集落からも近い距離にあるが、家々の特徴はほぼ共通しており、やや集落の規模が小さい程度で質的には十分匹敵するものがある。








訪問日:2018.09.22 TOP 町並INDEX