三刀屋の郷愁風景

島根県三刀屋町<在郷町> 地図  <雲南市>
 
町並度 5 非俗化度 9 −斐伊川中流域の在郷町−


三刀屋の町並
 出雲地方の内陸部、三刀屋の町は近年高速道のICも整備され交通の便がよくなった。
 中世は三刀屋氏が石丸城に300年余りに渡って居を構えた地だが、毛利・尼子氏の衰勢の度に戦乱に巻き込まれている。
 関ヶ原の役後に松平氏による松江藩が成立をみると、三刀屋一帯は当藩領となり、古くから盛んであったタタラ製鉄などを藩が保護した。また製鉄に需要の多かった牛馬の飼育も督励され、郡内の資産家に飼育を義務付けた。定期的に牛馬市が開かれ、周辺地域の牛馬及び物資の集散地となった。その他、煙草産業も藩の保護を受け発達した。
 明治以降も斐伊川中流域では北に接する木次とならんで市街地を形成し、河港としても賑わっていた。しかし後の国鉄木次線である簸上鉄道が大正5年に開通し木次駅が設置されると、三刀屋は商業の中枢性としての役割を木次に譲ることになった。
 現在の国道54号線より東側に旧市街が開けている。こちらの方が街路が直線的であり、国道が市街地を避けた格好だ。連続性の高い町並はかつての在郷町としての賑わいを想起させる。山陰らしい赤褐色の瓦を載せ、一部には袖壁を有した姿もあった。
 また板壁や厳かな門などの醸し出す風情ある路地風景も見られ、探訪する価値のある町並といえるだろう。
 









訪問日:2017.05.06 TOP 町並INDEX